ろんだん佐賀

ダイバーシティのすすめ

2020.03.08

多様性が組織を育てる

「ダイバーシティについて、知っているよっていう方は手を挙げて下さい。」私が講義の冒頭で、必ず投げかける言葉だ。数年前はほぼ0であったが、最近は1割くらい手が上がるようになってきた。いま偉そうに「ろんだん」している私も、2017年に現職に着任するまでは、その言葉の本質を深く考えずに過ごしていた。そこから手探りながら、ダイバーシティ推進に向き合ってきた。今日はダイバーシティの言葉の意味について述べる。

ダイバーシティとは、性別、国籍、人種、民族、年齢など人の持つ属性の分類のことで、「多様性」と訳される。性別や肌の色など、目でみてわかる外観上の多様性と、学歴や職業、家族構成など、後天的に形成される個人の内面レベルでの多様性の2種類がある。

さて、皆さんの学校、会社、自治体で、一番偉い人たちの集団を想像してほしい。一人ひとり、その組織に長年属し、仕事の知識も経験も豊富な50-60代の生え抜きの日本人男性ではないだろうか。これに比べて、グローバル企業ではそのほとんどが社外で若者や女性や外国人も多いといわれている。ダイバーシティ推進とは一言でいうと、組織に「多様性」を持たせてくださいということだ。そのためにまず、個々の「多様性」を尊重し、その違いに価値を見つけること、そして各々の「多様性」に係わらず、全ての人がその能力を最大限発揮する組織を作ること。これにより組織のパフォーマンスが向上し、成長につながるという考え方である。

ダイバーシティを取り入れる理由は2つある。1つは、グローバル化・IT化に伴うステークホルダー(会社で言うと顧客、学校で言うと学生、行政で言うと社会)の多様化への対応だ。これまで想像していなかった市場や顧客にも質の高いサービスを行うには、提供する側にも多様な意見を取り入れる必要がある。これは多くの企業がダイバーシティ経営に取り組む理由の1つとなっている。もう1つは、イノベーションの創出。イノベーションというと、一握りの天才による世界が驚く発見を想像するが、ここでは会社で新規事業を立ち上げる、ちょっとした改善を提案するなど、何か少しでも新しいことをやって前に進むことを指す。実はそのほとんどが、今ある既存の「知」と別の新しい「知」のかけ合わせである。「三人寄れば文殊の知恵」も、その三人が同じ属性、似た経験を持つものであれば、「知」はすぐに出尽くし、イノベーションは枯渇するであろう。多様な思考の人で構成されたチームの方がそうでないチームに比べておのずと「知」の数が多くなることは想像に難くない。

ダイバーシティ推進の目的は、性差や障害で生じてしまう差別を解消することだけではなく、その人たちの個性を認め、それぞれの視点を生かし、組織の成長につなげることだ。

私はこれらを初めて学んだ時、これは社会変革の1つになるに違いない!と目から鱗が落ちる思いであった…いざやってみると、言葉を理解しただけでは全く足りず、多くの困難や課題に直面し途方に暮れることになるのだが。それでも難しいことほどやりがいを感じる性分で、毎日楽しく仕事をさせてもらっている。次回は実践での思いや経験について綴っていく。

 

佐賀新聞 2020年3月8日付 掲載

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