ろんだん佐賀

ポスト・コロナ時代の働き方

2020.06.01

「在宅×出勤」を当たり前に

新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、多くの現場で導入された在宅勤務。コロナ流行前においても「働き方改革」を実現するための柱の1つとして注目が集まっていた。職場でもダイバーシティを進めるにあたり在宅勤務制度の導入を何度か検討したことがあったが、「必要性があるのか」「成果が上がるのか」「コミュニケーションが希薄となる」「情報漏洩の心配」…など乗り越える壁を挙げたらきりがなく、何から始めてよいかわからずにいた。

そんな中、在宅勤務へのシフトが急ピッチで進んだのは青天の霹靂であった。大きな違いは、コロナ流行前は「ワーク・ライフ・バランス実現のため」として、育児や介護などの必要がある場合の例外的な働き方として捉えられていたのが、コロナ禍で「人との接触を最小限にするための緊急避難措置」となり、業種や企業規模、各個人の事情を問わず史上空前の規模で勤務体制を出勤から在宅への切り替えが進んだことである。

私の職場内でも準備不十分なまま始まり、最初の1週間は、成果は犠牲にしてでもとりあえずやってみる、2週目は前週の反省をもとに形を変える、3週目以降は成果を求めるようにすると、その都度立ち止まりながらトライアンドエラーを重ねた。その結果、日々の仕事から、対面型が望ましい仕事、在宅勤務の方が効率的に行える仕事の切り分けが次第に見えてきた。例えば、同じ会議であってもメンバーが多くて面識に乏しい場合は対面形式が望ましいが、そうでない場合はテレビ会議で代替可能、データ入力や単純な書類作成は家で一気に集中して行った方が短時間で済ますことができる、などの知見がグループ内で共有されてくるのである。また、危惧していたコミュニケーションは、別の場所にいるからこそ、互いの進捗報告や作業のフィードバックを綿密に行うようになり、在宅勤務のほうがより深まったように思う。個人的には、休校中の子供と一緒の在宅勤務は、成果を出すには難度が著しく高いということもわかった…。

やむを得ず始まった壮大なる「在宅勤務の実証実験」を経て、次なる私たちの関心はポスト・コロナ時代の働き方であろう。この先、コロナが収束しても在宅勤務を永続化しようとする企業がIT関連を中心に広がりつつある。在宅勤務には、感染・災害による対応だけではなく、通勤時間の短縮、育児介護が必要となった職員の離職防止、遠方に住む秀でた人材の雇用、コストの削減などそのメリットは多岐にわたるからだ。それは都会の話であり、佐賀には従来の働き方があっているという意見もあるかもしれない。しかし、第2波により再度の緊急事態宣言が出た場合や、オンラインでのやり取りに抵抗のない若者が増えていくことを考えると、完全に元に戻すことは芳しくないように思う。

私は、依然として出勤での勤務を主流としつつ、在宅勤務を「特殊」ではなく「当たり前」の選択にしておくべきだと考えている。社員は効率を最大とするための在宅×出勤のベストミックスを考え、管理者は従来の人事評価を変えていく必要があるだろう。コロナ禍をきっかけに在宅勤務が働き方の常識となるのか、非常事態用の手段として終わるのか、分岐点が訪れている。

 

佐賀新聞 2020年5月31日付 掲載

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